(ネタバレあり)天気の子 感想
7月下旬に見た映画「天気の子」について、つまみ食いで感想を書いてみます。
ファミリー映画・・・?
妻、娘(2歳)と3人で映画館に入りました。
新海誠監督の前作「君の名は」は、娘がおなかに居るときに、妻とふたりで見た映画でした。「今度は、3人で映画を見られるなあ」と、なかなか感慨深い気持ちでした。
長い前座CMを経て、本編開始。
陽菜(ひな)さんとお母さん(?)の病室、暗いな。
帆高(ほだか)が乗り込んだ船、巨大な雨雲、暗いな。
帆高がさまよい歩く、ネオン街、やたらリアルで、暗いくて汚いな。
・・・?
前作「君の名は」では、キラキラした東京と、山と湖に囲まれた飛騨(たぶん)のどちらも、幼児にも安心して見せられるような美しい風景が広がっていました。
しかし今作は、風景が緻密に書き込まれてはいるけれど、暗くて汚い。
失敗したかな、というのが第一印象でした。
銃
東京をさまよううちに、帆高が偶然手にした「拳銃」。
これが、少年マンガにあるような「未来を切り開く力」には全然ならなくて、「帆高の人生を堕としていく凶器」そのもの。
帆高は、前を向いて懸命に生きているのに、次第に「犯罪者」としての立場を強固にしていく。
「ああ、犯罪者ができていくひとつのパターンって、こういうものなんだなあ」と妙に納得させられました。
そして、物語終盤。
追い詰められた帆高が、複数の銃弾を撃つシーンがありました。ふと隣の席を見ると、奥さんがてのひらで、娘の目をおおっていました。「ああそうだ、これは幼児に見せてはいけない場面だ」遅ればせながら、自分の手を奥さんの手に重ねました。
子ども(2歳半)
— そうじぇる (@medix40) July 27, 2019
「君の名は」上映時は、お母さんのお腹の中だった。
最近では、「きーみーのーなーわ」と録画DVDを繰り返し再生しており、ウケも良かった。
今回、親子3人で天気の子を見に行けたことは、ある種感慨深い。
懸命に生きる人たち
帆高は、刹那的で愚かな少年でした。
陽菜さんは、「晴れ女」ではあるけれど、無力で無欲でした。
その他の登場人物も、自分のしがらみ、テリトリーに縛られているように見えました。
けれども、それゆえに、誰しもみな懸命に生きている、もがいているなあという印象を受けました。
レジェンド
そんなちっぽけな人たちの中にあって。
「晴れ女」依頼人の家族として現れた、瀧くん。こんなに優しい笑顔でしたっけ?
プレゼントを選ぶ帆高を、温かく励ます三葉さん。すごい、お姉さんですね。
ひたすらにもがく、もがくしかない登場人物の中にあって、文字通り「一周回って」悟りを開いたかのような、余裕と慈愛に満ちたふたり。
まさしく、レジェンド枠。
エピローグに現れた、瀧くんのおばあちゃんも、ずいぶん達観した様子でした。
水害と祈り
エピローグ、水没した東京でも(たぶん)絶望と苦難を乗り越えて、人々は社会生活を営んでいました。
現実にこういうことが起こっても、きっと人はたくましく生き抜いていくんだろうなあ・・・。
そして、「晴れ女」の能力を失っても、だれから注目されなくなっても、きっと晴れを祈り続けてきたであろう、陽菜さん。祈る姿からは、美しくて儚く、それでも彼女の「芯」が垣間見えるようでした。
おわりに
長大な、緻密に作られた映画であり、まさしくつまみ食いの感想になりました。
美しさだけでなく、汚いところもたくさんある映画で、家族で見に行ったのが、良かったかどうかはわかりません。
ただ、帰宅後に娘が「てんきのこ、たのしかった」と言ってくれたのは、私にとっての救いです。